この度、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第44回世界遺産委員会において、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産への登録が決定されました。国内からは5件目となる登録で、まことに喜ばしく、ここまで努力を重ねてこられた関係者および地元地域、沖縄県、環境省・政府に心から敬意を表します。
琉球大学は、沖縄島北部の遺産登録地域内と西表島の遺産周辺管理地域内に教育研究施設を有するとともに、長年にわたってこの地域の自然の研究と教育に深く携わってきたこともあり、特別な思いをもってこの朗報を受け止めています。
私たちは、今回の決定により、この地域の自然を適切に保護し、保存し、次の世代へと継承していく責務を国際的にも負うことになりました。このことに、改めて思いを致すものです。本学では、先にも述べたように、この地域の貴重な動植物や自然環境を守り育てつつ学生教育を行うとともに、地域の人材育成にも貢献してきました。また、固有の生態系や生物多様性の把握、その管理方法に関する研究等を行ってきました。これらは、地域にある貴重な自然の価値を科学的な観点から正確に把握し、それを後世に伝えていくための大切な基礎作りだと考えています。一方、この地域では、観光客の増加に伴うオーバーツーリズムに対応する適正な観光管理の実現、ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコ等の希少種のロードキルの防止、包括的な河川再生、さらに緩衝地帯における森林伐採の適切な管理等、多くの課題も指摘されており、これらを総合的に把握し、解決していくことが不可欠です。
本学は地域に貢献する大学という立場から、引き続き地域社会や国際社会と協力し、教育研究を通じて、周辺地域を含む世界自然遺産登録地域の生態系や生物多様性を将来世代に引き継ぐための努力を惜しまぬ所存です。
2021年7月26日
国立大学法人琉球大学
学長 西田 睦
<ユネスコ世界自然遺産関連リンク集>
・世界自然遺産登録地域(周辺地域を含む)における琉球大学の生態系・生物多様性に関連する論文一覧(講演要旨含む)
・Excelデータ
・PDFデータ
(1)本リストは、世界遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」地域における本学の生態系・生物多様性分野における研究成果(論文および学会発表)をまとめたものです。
(2)本リストは、CiNii articles(国立情報学研究所:主に日本の学会誌や大学研究紀要等に掲載された論文)、Web of Science(クラリベイト社:1996年以降に出版された英文による論文)およびGoogle Scholar(その他、1995年以前の論文)を利用して、「奄美」「やんばる」「西表」「動物」「植物」などのキーワードを複数組み合わせて検索することで作成しました。さらには、この検索結果に含まれなかった論文についても、情報提供を受けて内容が確認できた論文については、追加収録をしています。
(3)本リストは、現時点では、論文と学会発表の講演要旨のみを掲載していますが、今後、書籍についても追加する予定です。
(4)本リストは、新しい関連論文が出版された場合や情報提供があり論文内容が確認できた場合には、随時更新する予定です。