<発表概要>
ドイツ・マックスプランク研究所のMartine Robbeets博士、Mark J. Hudson博士、Chao Ning博士、および本学大学院医学研究科・木村亮介准教授、石田肇教授らの国際共同研究チームによる研究成果がNature誌(オンライン版)に掲載されました。
本研究では歴史言語学、遺伝学、考古学による知見を結集して、トランスユーラシア語族*の言語の起源が中国北東部・遼河流域において約9000年前にキビ栽培を開始した初期農耕民と関連することを示しました(図の赤い矢印の根元付近)。トランスユーラシア諸語は、農耕民が北東アジア全体に拡散するにつれて、東方向には朝鮮半島を経て、弥生時代に日本列島に広がったと考えられます。
これまで、トランスユーラシア語族については、約4,000~3,000年前を起源とし、ステップ地域からの遊牧民の移動が言語の拡散に重要な役割を果たしたとする「遊牧民仮説」が提唱されていましたが、今回の研究は、この仮説に疑問を投げ掛けています。
<用語解説>
*トランスユーラシア語族: 日本語、韓国語、ツングース語、モンゴル語、チュルク語からなるユーラシア大陸を横断する形で分布する言語連合。
<論文情報>
論文タイトル:Triangulation supports agricultural spread of the Transeurasian languages.https://doi.org/10.1038/s41586-021-04108-8
著者(下線 本学所属):Martine Robbeets, Remco Bouckaert, Matthew Conte, Alexander Savelyev, Tao Li, Deog-Im An, Ken-ichi Shinoda, Yinqiu Cui, Takamune Kawashima, Geonyoung Kim, Junzo Uchiyama, Joanna Dolińska, Sofia Oskolskaya, Ken-Yōjiro Yamano, Noriko Seguchi, Hirotaka Tomita, Hiroto Takamiya, Hideaki Kanzawa-Kiriyama, Hiroki Oota, Hajime Ishida, Ryosuke Kimura, Takehiro Sato, Jae-Hyun Kim, Bingcong Deng, Rasmus Bjørn, Seongha Rhee, Kyou-Dong Ahn, Ilya Gruntov, Olga Mazo, John R. Bentley, Ricardo Fernandes, Patrick Roberts, Ilona R. Bausch, Linda Gilaizeau1, Minoru Yoneda, Mitsugu Kugai, Raffaela A. Bianco, Fan Zhang, Marie Himmel, Mark J. Hudson, Chao Ning.
雑誌名:Nature(2021年11月10日 オンライン公開)
DOI:10.1038/s41586-021-04108-8
論文URL:https://www.nature.com/articles/s41586-021-04108-8
ハイライト記事URL:https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/13869